高度経済成長の象徴であるゼネコンは今でも日本を支えている

建設現場

⤴️ゼネコンって何をやってる会社?

ゼネコンは大型の建築物を作る総合建設会社で、大規模なプロジェクトで全体を統括するリーダーの役割を果たしています。

大手はどの業種で働いていても一度は名前を耳にするぐらいの知名度があり、日常生活の飲料水や工業用水などを供給するダムの建設といった大規模な土木工事も担当できる実力を持っているのが特徴です。

日本の生活と経済を支えている立役者で、その技術力は世界的にも高い水準になっています。
日本の建築物は信用できると高く評価されて、ベトナム等の発展途上国で仕事を請け負うケースも増えてきました。

よく誤解されていますが、ゼネコンが手掛けている仕事の大部分は不動産ディベロッパーからの依頼です。

入札を勝ち抜いて公共工事などを引き受けるのは一部で、基本的に土地を保有して付加価値をつけることでビジネスを展開する不動産ディベロッパーと打ち合わせをしながら進めています。

どちらの案件でも元請けとなるため、その建築物に全面的な責任を負うと共に自らの提案や考えで仕事を行えるポジションです。
自分が担当した仕事がそのまま地図に残るというのが、働いている人間にとっての原動力になっています。

⤴️元請けからどんどん下に仕事が割り振られていく仕組み

世間に社名が出てくるのは、日本経済を左右するほどの影響力があるスーパーゼネコンを筆頭とした上位の会社だけです。
実際には元請けからどんどん下に仕事が割り振られていくから、最終的に六次ぐらいの下請けまで絡んできます。

規模が大きい現場だから当然の話である一方で、序列がしっかり決まっていて上下関係に厳しい世界です。

上の立場の会社であるほど利益が大きくなる構造で元請けでは中堅の社員でも年収1,000万円を超えるのに対して、末端の下請けでは残業が多くても年収300万円ぐらいという格差があります。

大手では東証一部上場の有名な会社というブランドも得られるので、優秀な学生がこぞって就職活動でエントリーしている状況です。
十分な給料をもらえることから人が集まりやすい環境ですが、実際にはかなりの激務に耐える必要があります。

決められた納期までに確実に完成させる義務があるので、会社に泊まり込むことも珍しくない職場です。
ゼネコンは顧客と直接向き合う立場だから、要望のヒアリングから折衝まで一貫して担当します。

海外とは違って設計と施工が一体化しているのは、不動産ディベロッパーなどの顧客に対して良い提案をするために他なりません。
独自技術の研究開発によって従来の品質を維持しながらコストを下げるといった企業努力も行っており、3部門の力を結集して経営しています。

⤴️日本全国を転々とするのが普通の陣頭指揮を執る現場監督などは激務

他の業界と同様に、現場に出向く必要がある職種は総じて激務です。

陣頭指揮を執る現場監督や専門分野を担当する技術職はあちこちの現場に回されて、都内の大型ビルが完成したら次は北海道の現場といった具合にどんどん移動します。

一定期間で転勤をするレベルではなく、人手不足の現場が出たからヘルプで行ってくれという感覚で日本全国を転々とするのが普通です。
日本の建設業界を代表するゼネコンの活躍の場は海外にまで広がっており、世界のどこに行かされてもおかしくないと覚悟しておくのが常識になっています。

現場では下請けを含めて大勢のスタッフが忙しく動き回っているので、リーダーとして恥ずかしくない采配を見せなくてはいけません。
職人や現場で作業をする技術者は気性が荒いことが多く、彼らに適切な指示を与えて信頼を得ることが大切です。

納期までに完成させるために現場のスタッフに発破をかけるケースもよくあり、慣れない人間が来ると戸惑ってしまう独特の雰囲気があります。
施工を正しい手順で行うため、早朝から夜まで現場にいるのが現場に関係した職種の日常です。

現場監督のような管理職や技術職は会社に帰ってからも仕事があり、書類の作成や申請といった事務仕事や会議をこなします。

⤴️ゼネコンの需要は安定しているが激務に耐えれるかどうかが鍵

内勤の事務職や研究職は、現場に出向く職種に比べて普通の勤務です。

決算が近づいた時期の経理部といった部署的な繁忙期はありますが、現場系のスタッフのように常に色々な現場を飛び回るほどではないので定着率が高くなっています。

研究開発では社内でじっくりと腰を据えて取り組める環境だから、一定期間で成果を出す必要はあるもののマイペースに仕事ができるのが特徴です。

顧客の要望や現場の状況で振り回される立場よりも安定しているのですが、新卒で入ってきたばかりの社員はだいたい人手不足の現場系の職種に配属されます。

日本の建築物の耐久性は抜群ですが、やはり定期的なメンテナンスや建て直しが必要です。
ゼネコンの需要は安定しているので将来も仕事を受注できる反面、激務に耐えて社内で出世できるのかどうかが問われます。

若手に仕事が集中する傾向にあるので、自分が潰される前に上の立場になることが基本的な戦略です。
逆に言えば、いつまでも現場で振り回される立場である場合は、早めに転職することで再出発するのも1つの考え方となります。

最終更新日 2025年6月10日